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私の心の限界が私の世界の限界である

どこよりも早いPOPPIN'YELLOW「LEMONADE」レビュー

こんばんは。今日のアイステ聞きましたか?


聞いてないなら早く聞いてきて。
できれば16分30秒あたりから4分ほどだけでいいから。
なんでかって、そりゃあキリンジ(KIRINJI)の堀込高樹が作詞作曲した
「POPPIN'YELLOW」収録曲「LEMONADE」のオンエアですよ!待ってた!

前々からというには長すぎるくらいキリンジが好き(約20年)で、アイマスのカバー曲に
キリンジで応募しまくったり、ライブ後のアンケートに「キリンジに曲提供して」って
ずーーーーーーーーーーーーーーーっと送り続けてた自分からすれば
やっと叶った出来事です。2017年はこの出来事だけで飯が食えるくらいうれしいんです。
というわけで浮かれた気持ちのままこのブロマガを書いていますが

キリンジとはなんぞや」

「この曲の聴きどころとかどこらへんよ」

といったキリンジあんまり知らないPの皆様にもこの曲の魅力をわかってもらえるように
解説していきたいと思います。
Youtubeに公式試聴も上がってないのにね!
バカだね俺!

<追記>Youtubeでの試聴ができるようになりましたよ!
ブロマガ読みつつ延々と聞こう!


というわけで「LEMONADE」の作詞作曲をした堀込高樹、そしてキリンジ(KIRINJI)」
とは何ぞやという話ですが、まずは公式サイトへのリンクWikipediaへのリンク
貼っておきますね。ナムコ堀込高樹とその弟堀込泰行が組んだ兄弟バンド
キリンジ」というバンドでして、1997年にインディーズデビュー、1998年に
メジャーデビューを果たしています。ナムコサウンドの同期としては「サマンさん」
でおなじみの佐々木宏人さんがいます。かせきさいだぁさんとも同僚だったそうで。
長らく兄弟で活動していましたが2013年に弟の泰行が脱退しソロに。(最新曲)
その後は兄・高樹が屋号を引き継ぎ、6人体制で「KIRINJI」として再出発しています。
(現在、12月で1人脱退して5人に)
音楽ジャンルとしては日本語ポップ、ロック、グランジAORあたりになるでしょうか。
ものすごく売れるというわけではないですが、その緻密なサウンドはミュージシャンや
ファンから非常に高く評価され、愛されているバンドです。
最近ではのんさんが出てるLINEモバイルのCMに楽曲「エイリアンズ」が使われたことで
話題にもなりました。
そういえばこないだラジオで星野源さんもラジオで歌ってましたし
仲村宗悟さんも弾き語りしてましたので、ご存じの方は多いかと思います。

そんなキリンジアイマスにどうやって共通点があったの?というところですが、
まず堀込高樹さんが元ナムコであったこと。「スーパーファミスタ風のクロノア
などのサウンドに参加しています。退社後は塊魂にも参加していましたね。



またデビュー後、2004年から2013年まではコロムビアレーベルに在籍していました。
泰行脱退後、現在に至る「KIRINJI」時代においても共通点がありまして
ベースの千ヶ崎学さんはシンデレラの「Tulip」スローライフ・ファンタジー
演奏しています。あのベースラインみんな好きでしょ、「Tulip」のイントロの。
さらにライブではサポートメンバーとして矢野博康さんが参加することが多いです。
矢野博康さんといえば、元Cymbalsというだけではなく
今回のPOPPIN'YELLOWに収録されている「虹のデスティネーション」の作詞作曲も
されていますね。
これだけ縁があったのでキリンジファン兼任Pとしては
「やっときたか」な気持ちなわけです。
あとは堀込高樹の作曲世界がかなり特殊でアイドルにはちょっと…というのもあります。
(最近はNegiccoに楽曲提供してるしそうでもないかもだけど。これがまたいい曲)
アイステで試聴した人は「なんだこの曲!?」って思った人も多いでしょう。
(実際そういうコメント多かったですね)

ちょっと1番の歌詞を書き起こしてみました。
榴弾のピンを抜くような顔で
私は齧る 悔しくて
皮は苦くて果汁は酸っぱい
今日も三振 辛酸舐めた
弱虫毛虫のテロリスト

砂糖をください 一匙の砂糖
苦くて酸っぱいばかりの日々を
レモネードに変えたい 変えたい
LEMONADE LEMONADE…
これ メロウでイエローで冷たい
LEMONADE LEMONADE…
これ メロウでイエローで冷たいサワ―


歌詞の初手で「手榴弾のピンを抜くような顔で」
これアイドルに歌わせるのかよ!とびっくりした人もいるかもしれませんが
堀込高樹世界では普通のことです。いままで自身の作詞で
「君を棄てて 仕事辞めて」(絶交/ソロ曲)
「体だけさ それが全てなんだ 悪いかい?」(乳房の勾配/冨田恵一 feat. キリンジ名義)
あぁ、口づけて責めてみても カエルの面にシャンパンか」(雨をみくびるな)
こんな感じでかっ飛ばしています。つまり通常運行であり仕様です。

1番の歌詞全体の流れからしてみると、新作「ステラステージ」のシナリオ設定として
存在する「アイドルとしてなかなか芽が出ずに辛い思いをしている」というのを
「レモンを齧る」という表現で覆って、そこに「砂糖」という甘さを加えることで
「レモネードに変えたい」=「アイドルとして輝きたい」という物語になります。
ここで一つ注意したいのが「砂糖をください」という部分で、レモネードはだいたい
「レモン+蜂蜜+水」で作られているのに、ここは「砂糖」なんです。
なぜ砂糖でなければならないのか。
蜂蜜は人間が採集するとはいえ、ミツバチが蓄えた栄養であり、より自然に近い食品です。
砂糖も自然由来ではありますが、蜂蜜より多くの人の手と工業的製法により漂白された
「加工物」に近いものです。
つまり、アイドルとして輝くために「工業的に漂白された」甘さが欲しい
自分の持つ「蜂蜜」のような天然の才能よりも、プロデューサーやファンのような
人の手による甘さを望んでいる、という解釈もできなくはないわけです。
ほんのわずかであるとはいえ、蜂蜜が持つ自然な苦みなどいりません。
それはすでに、今までさんざん味わってきたものなのだから。
悔しさや悲しさで蓄えた苦さや酸っぱさは、単純な甘みの「砂糖」を入れることで
より純粋に引き立てられるのです。
この歌詞からしても今までのアイマスにはない表現ですね。
また、檸檬を手榴弾に例えることで、なんとなく梶井基次郎の「檸檬」を思い出した人も
多いのではないでしょうか。

続いてサウンドですが、最初に聴いたときに思い出したのが藤井隆に楽曲提供した
わたしの青い空」や、アルバム「DODECAGON」収録曲のような
打ち込みによる緊迫感です。
無機質で暗いリズムが刻まれ、ベースラインが異様に低く響くことでさらに怖さを煽ります。
そこに乗るシンセサイザーも必要最低限という感じで、オケ全体としては今までの
アイマス曲にはないくらい異様に暗い。壮大でもないし、爽やかでもない。
ピアノの音が途中から乗っかってきますが、それもメロディで爽やかさを加えるという
わけではありません。むしろドラムにおけるハイハットのように
短く刻んで乗っかってくることでさらに危機感や焦りを増幅させます。
でもこれで良いのです。
ベースラインはさながら水道の蛇口から出る水(硬度高めでちょいカルキ臭)
レモンの苦さや酸っぱさはシンセの音であり、
そこにわずかに降りかかるピアノの、きらっとした音が「砂糖」なのですから。
つまりこのオケ自体も「LEMONADE」なのです。

ではこの意味深すぎる歌詞と異様な低音で構成されたサウンドアイドルソングたらしめて
いる要素はどこにあるかというと、それは雪歩とあずさのボーカルワーク、
またサウンド陣のボーカルへの見事なディレクションに他なりません。
アイステの放送内で浅倉杏美さんが「とつとつと歌うのかなと思っていたら
『いやこれは逆に、癒し系に思いっきり可愛く歌ってください』と言われた」
と話していましたが、そのディレクションこそこの曲の肝であり、可愛さからはみ出して
ともすればあざとく、ブリッ子にも取られるくらいの声で歌うことで
この歌に甘さ=「砂糖」を加えているのです。
この甘さこそが必要であって、蜂蜜のような自然の甘さの歌声で、というディレクション
あればこの曲はオケと歌詞が勝ちすぎて完全に「アイドルの歌う暗い曲」という印象だけで終わってしまいます。そこには単純で直接的な甘さが必要なのです。
この一見オケとは真逆の方向性であり楽曲が破綻するかもしれない合わせ方ですが、
そこをつないでいるのが雪歩とあずさによる声の相性の良さとコーラスワークで、
特にコーラスワークは歌のラインとオケのラインの間を取ってうまく橋渡しすることで
曲としてのまとまりが生まれています。

つまり全体としては「無機質で無味な水=オケ」であり、
「レモンの酸っぱさと苦さ=歌詞」であり、
「甘さに全振りした歌声=砂糖」という構成である、と考えます。

もっと言うならレモネードというテーマをなぜアイドルの歌に選んだか、ということですが
レモネードはアメリカなんかでは「少年少女がレモネードを作って道端で売ることで
小遣い稼ぎをする」ものなんですね。道端に机出してそこに手作りのレモネードを出す。
そこらへんを踏まえると「少女が社会の中で自分の価値を見出し、輝いていく」という
アイドル的なテーマにも通じます。
「人生でレモンが与えられたら、レモネードを作りなさい。
(When life gives you lemons, you should make lemonade)」
なんていう格言もあり、例え試練にぶつかっても、前向きに受け止めなさい」っていう
意味だそうです。そこまで含まれているのかはわかりませんが、もしそうだとしたら
それはそれで素敵なことだと思いませんか?

ちなみに仮歌が「とつとつと歌う男性のボーカル」であった、ということですが、それは
間違いなく堀込高樹本人の歌唱です。音源くれ。もしくはセルフカバーしてくれ。
超どころじゃなく欲しいです。

もしあなたがこれを読んでキリンジ(KIRINJI)に興味を持ったら
「KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration」
「キリンジ SINGLES BEST Archives」
「フリー・ソウル・キリンジ」
の3枚がおすすめ!ベスト盤なのでだいたい在庫あると思うよ!
最新アルバム「ネオ」もよろしく!なんとこのアルバム1曲目はRHYMESTERとコラボした
The Great Journey feat.RHYMESTER」だ!


というわけで、堀込高樹作詞作曲の「LEMONADE」が収録されている

THE IDOLM@STER MASTER PRIMAL POPPIN' YELLOW

12月22日発売!みんな5000兆枚買おうな!
あと自分が初めて作ったニコマスがキリンジの曲だからみんな見てね!
興味が出たら「キリンジm@ster」で検索だ!

また、あずみんが出演しないとはいえ万が一にも初星演舞で
「LEMONADE」が歌唱された場合悔やんでも悔やみきれませんので
2日目現地のチケットを定価でお譲りいただける方を募集しています!ほんとに!