nevergreen

私の心の限界が私の世界の限界である

第1回 「このマンガが好きだ!」

ムニエルさんからお誘いがありましたので、ブロマガ企画「このマンガが好きだ!」に
参加します!
野球が熱い今の時期に書いておかなければ・・・という作品。それは
山田圭子「心おきなく正気を捨てえ!!阪神タイガース応援団熱血青春物語」です!



ちなみにこの作品はすでに絶版・・・なのですが、マンガ図書館Zならオンラインで無料
読めます!Kindleでも324円だしKindle Unlimitedに加入していれば無料ですよ!
ありがとう電脳社会!

このマンガがどういう話なのかと言いますと。
主人公の桜坂嵐は大学を卒業したはいいものの、人生に目標を見いだせず無気力なまま就職もせずに過ごしていた。



しかし、ふとしたきっかけから幼い頃から行きたいと思っていた甲子園へ行き、そこで
阪神タイガースの応援に圧倒され、阪神タイガース私設応援団への入団を願うようになる。




しかし伝統ある私設応援団には入団するだけでも1年の時間を要し、主人公が憧れる応援団の房振り(いわゆる応援のリーダーですね)になるにはさらに努力と鍛錬を必要とする。



そこで失敗を繰り返しながら成長していくのだが、ある日応援団に泥を塗るような失敗をしてしまい・・・そこからまた這い上がる、ざっとまとめるとこういう物語です。1巻完結。



この作品の何がすごいって、「きちんと応援団の取材をしている」ことなんですね。
きちんと私設応援団の成り立ち、規約、裏の顔まできちんと描いている。よくOKしたなあ
私設応援団

そして何よりも自分の過去に共感するところが多々あるからこそ、自分にとって大切な
マンガだということ。
自分は大学時代、コンサドーレ札幌の応援で全国をかけずりまわり、拡声器片手に応援を
まとめる「コールリーダー」という役目をやっていました。
だからこそ、「応援団で仕切る立場になる」ことの過酷さ、その立場に憧れて擦り寄ってくる
人(そういう人は大抵数試合で消えていく)、見えないところで起こるいろんな問題と対処、そういった「応援にまつわるいろんな出来事」が生々しく描かれているんですね。






一見華やかでかっこいい応援団の姿にはこんな泥臭さがあるんだと言うことを知って欲しい
と思います。
この作品で描かれる私設応援団の証「黄色ジャージ」も、最低1年球場に通わなければいと
もらえないなんて描写がありますが実際はもっとかかります(もらう寸前までいって
入れなかった知人が実際にいます)。そうして手に入れた「立場」も、ひとつの失敗で全部
パーになることなんてザラです。



自分だって応援に失敗した時は、あることないこと言われましたし、最初にゴール裏に拡声器
持って立ったときにはハーフタイムに胸ぐら掴まれて「そんなクソみたいな応援なら今すぐ
辞めちまえ!」って怒鳴られたりもしました。それでも続けられたのは、ひとえにチームが
好きだったから。主人公の彼も、「阪神が好き」「甲子園が好き」だからこそ、己を賭けて
やり遂げることができるのです。
スポーツを問わず私設応援団(もしくはサポーター)なんて別に尊敬されたいとかちやほや
されたいとか思っちゃいないもんです(そしてたいてい、そう思ってたら負けるもんです)。
常々言っていることなんですが
「勝ったらチームのおかげ、負けたらサポーター(応援団)のせい」なんです。




力の限り応援する人々の姿をこの作品から感じ取っていただければ、と思います。